中学生の時に「Doc Watson」というLPを買って以来のアイドルだった。
フォークギターと言えば歌の伴奏くらいしか知らなかった中学生にとって初めて聴く「ドックズ・ギター」そして「ブラックマウンテンラグ」は、しばらく言葉が出なくなるほど衝撃的だった。
そして後に、そのアルバムのジャケット写真でドックが抱えていたのと同じマーチンD-18を手に入れた。初めて手に入れたマーチンは32年たった今でも手元にあり、いい音で鳴っている。
ドックのトレードマークと言えば波型のヘッドが印象的なJ.W.Gallagherのギターだ。
ナッシュビルの「カントリーミュージック・ホール・オブ・フェイム」に行けば、今でもエルビスの金ぴかキャディラックと対象的にひっそり佇む、ドックの愛用したギャラガーG-50モデルを見つけることができるはずだ。
そのギャラガーの工房を訪ねてテネシー州まで行き、特別に作ってもらったドックワトソンモデルももうじき20年になる。
その時ギャラガー家に泊めさせていただき、おばあちゃん(初代J.W.の奥さん)や2代目Donの子供たちと楽しく過ごしたことは今でも良く覚えている。
・・・・・
ギターのパートナーでもあった最愛の息子を事故で亡くし、晩年は孫とステージに立っていた盲目のギタリスト。
今はまた天国で息子と一緒にギターを弾いていることだろう。
決して洗練された音じゃなかったけど、あの人間味あふれる暖かい音色が好きだった。